人間の歯と動物の歯

みなさんはご自宅でペットを飼っていますか?
ペットとして代表的な動物といえば、わんちゃんやねこちゃんが思い浮かぶかと思います。
最近は、わんちゃんやねこちゃんの口腔ケアに力を入れている動物病院も増えてきています。

そこで今回は、猫と人間を比較しながら歯の特徴や機能について詳しくお伝えします。
 

■歯の本数

まずは、歯の本数についてです。
猫も人間と同じように、成長過程で乳歯から永久歯に生え変わります。

猫は乳歯が26本、永久歯は30本です。
生後3週頃から乳歯が生え始め、生後2ヶ月頃までに26本の乳歯が生え揃います。
そして生後3ヶ月頃から永久歯へ生え変わり始め、乳歯がないところに一番奥の「後臼歯」が生え、
生後6ヶ月頃までに30本すべての永久歯が生え揃います。


それに対して、人間の歯は乳歯が20本、永久歯は28本(親知らずを入れると32本)です。
生後6ヶ月頃から下の前歯が生え始め、2歳半頃までに20本の乳歯が生え揃います。
そして6歳頃からだんだん永久歯へ生え変わり始め、12歳頃にはすべての乳歯がなくなります。
11歳頃からは、12歳臼歯と言われる「第2大臼歯」が生え始め、13歳頃には28本の永久歯が生え揃います。

■歯の形

次に、歯の形についてです。
人間と猫では食べる物も違いますし、食べ物を得る方法も異なります。
そのため歯の形も全く異なる進化を遂げています。
 
猫は完全な肉食動物で、狩りをして獲物を捕まえ、肉を引き裂き、引きちぎるのに適した尖った歯を持っています。
また、上下の歯は噛み合っておらず、ハサミのような噛み合わせになっています。


それに対して、人間は肉類や野菜など植物性と動物性の両方のものを食べるため、雑食動物に分類されます。
そのため、肉食動物特有の犬歯と草食動物特有の臼歯を持っています。
「中切歯・側切歯」と呼ばれる前歯は、食べ物を噛み切るために薄く平べったい形状をしており、
3番目の「犬歯」は、食べ物を切り裂くために中切歯・側切歯より長く先が尖っています。


4番目と5番目の「小臼歯」は、下顎の位置を固定し、噛み合わせを安定させてくれます。
その奥の「大臼歯」は、食べ物をすり潰すために表面が平らで上下で噛み合うようになっています。

人間は上下の歯で食べ物をすりつぶす、「咀嚼(そしゃく)」を行います。
咀嚼して食べ物と唾液と混ぜ合わせることで、甘みや旨みを感じることができます。
また、咀嚼により食べ物を細かくすることで飲みこみやすくなり、胃や腸の消化を助けます。


■むし歯と歯周病

最後に、むし歯と歯周病についてです。
人間の口腔内は弱酸性(pH6.5~7.0)です。対して猫の口腔内は弱アルカリ性(pH7.5~9.0)です。
 
むし歯の原因菌は酸性を好むため、酸性に偏りやすい人間の口腔内は、むし歯菌が繁殖しやすく
むし歯になりやすいです。一方で、猫の口腔内はアルカリ性のためむし歯菌が繁殖しにくく、
かつむし歯菌が定着しにくい歯の形状のため、むし歯にはならないといわれています。
 
では、歯周病についてはどうでしょうか?
歯周病の原因は、歯周病原細菌で、歯垢(プラーク)の中に多く存在します。
猫の口腔内はアルカリ性なので、歯垢が石灰化して歯石になりやすく、人より歯周病になりやすいといえます。
この理論でいうと、人間の口腔内は弱酸性なので、猫よりは比較的歯石ができにくいかもしれませんが、
猫とは食生活が違うので歯並びや噛み合わせ、ケアの方法次第では歯周病になりやすいので注意が必要です!


いかがでしたか?
歯というものは、自然に備わっていて、生えている・噛めることが当たり前に感じてしまうかもしれません。
ですが、猫も人間も、歯一本一本に特徴や役割があります。
それを少し知っているだけで、日々の歯磨きも少し楽しくなりますね!

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