歯を失ってしまったときの治療について
新しい年が始まりました!
引き続きお口の健康を考える時に役立つ情報を発信したいと思いますので、
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回は
むし歯や歯周病・事故などで歯を失ってしまった場合にできる治療方法について紹介します。
失ってしまった歯を補う治療のことを「欠損補綴(けっそんほてつ)」といいます。
人工の材料を使用して歯の機能を回復させる治療方法です。
ところで、歯を失ったまま放っておくと、どのようなことが起こるのでしょうか。
歯は親知らずを除くと上下28本あります。
その28本の歯がお互いに支え合いながらバランスを保って生えています。
そのため、歯を失ったままにすると、失ったところに向かって隣の歯が倒れてしまったり、
対合する歯が抜ける方向に動いてしまうことがあります。
徐々に噛み合わせや歯にかかる負担が変化しバランスが崩れていきます。
以上のことから、歯を失った場合は放置せず、補うための治療を受ける必要があります。
失ったは歯を補う方法は大きく分けて4つの種類があります。
①入れ歯
②ブリッジ
③インプラント
④移植
これらの治療のそれぞれの特徴やメリットデメリットを説明します。
①入れ歯
⚫︎特徴⚫︎
取り外し式の装置で、人口の歯・歯茎・金具からできています。
入れ歯には「総入れ歯」と「部分入れ歯」があり、全ての歯を失ってしまった場合は「総入れ歯」、
1本でも入れ歯を引っ掛けられる歯がある場合は「部分入れ歯」になります。
部分入れ歯の場合は、まわりの歯に金具を引っ掛けて固定します。
⚫︎メリット⚫︎
・保険適用の場合は、費用を抑えられる
・残っている歯を大きく削る必要がない
・取り外し洗浄できるので、比較的簡単に清潔を保てる
⚫︎デメリット⚫︎
・噛む力が天然の歯に比べて7~8割弱くなる
・部分入れ歯の場合、金具をかける歯に負担がかかる
・発音に影響したり、食べ物の温度や味を感じにくい場合がある
・歯茎に乗せるため、違和感や痛みを感じやすい
②ブリッジ
⚫︎特徴⚫︎
失った部分に隣り合う歯を支えにして、橋を渡すように被せ物を装着します。
⚫︎メリット⚫︎
・噛む力がある程度維持できる
・保険適用の場合は費用を抑えられる
・手術の必要がない
・固定されるので取り外して洗浄する煩わしさがない
⚫︎デメリット⚫︎
・両隣の歯を大きく削らなければならない
・失った歯の噛む力を土台となる歯で補うため、土台となる歯に負担がかかる
・ブリッジの素材によっては人工歯と歯茎の間に隙間ができ清掃が難しいため、
汚れが溜まりやすく感染の原因となる
③インプラント
⚫︎特徴⚫︎
人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上にネジ式の人工歯を固定します。
見た目も噛む力もほぼ天然の歯と同じです。
⚫︎メリット⚫︎
・顎の骨に固定されるので、自分の天然の歯とほぼ同じ感覚で噛むことができる
・まわりの歯を削る必要がなく、支えも必要ないので、残っている歯に
負担をかけず守ることができる
・取り外す手間がない
・適切なメンテナンスをしていれば、20年以上使用することができる
⚫︎デメリット⚫︎
・保険が適用されず、自由診療となるため費用が高額になる
・治療期間が最低でも半年~1年と長期になる
・治療をした歯科医院が閉業した場合や引っ越しをする際、同じメーカーを
取り扱っている歯科医院を探しメンテナンスを継続する必要がある
④移植
⚫︎特徴⚫︎
健康な親知らずや、生えている位置が異常などの理由で使用されていない歯を
失った部分に移植する方法です。移植ができるかどうか・使用できる歯があるか
どうかは、歯科医師がお口の中を拝見し、処置の可否を判断いたします。
⚫︎メリット⚫︎
・歯と一緒に歯根膜という歯を支えている組織の一部も移植できクッションになるため、
自分の歯と同じような感覚で噛める
・まわりの歯を削る必要がなく、自然な噛み合わせが得られる可能性が高い
⚫︎デメリット⚫︎
・成功率が60~70%と言われており、インプラントよりも低い
・移植する歯の根の治療が必要となる
・移植した歯の寿命が平均5~10年と短い
以上、歯を失った部分を補う治療についてご紹介しました。
次に、それぞれの噛む力についてはどうでしょうか?下の図をご覧ください。
入れ歯は、安定性を保つことが難しく、噛む力はあまり取り戻せません。
ブリッジは、入れ歯よりも安定して噛むことができますが、ブリッジを支えている歯を
守るために、あまり噛まないようにしているという方もいらっしゃいます。
インプラントや移植であれば、骨や歯根膜など歯のまわりの組織に固定できるため、
健康は歯と比較して90%以上の力を取り戻すことができるといわれています。
どのような治療がご自身にとって最適なのかはお口の中の状況や残っている歯の状態、
生活スタイルや食の好みでも変わってきます。気になることがある方は、ぜひご相談ください!