被せ物の「土台」のお話

寒い季節が続いていますが、皆さん体調はいかがでしょうか?
冬は寒さで体調を崩しやすい時期ですが、実は体調と同じように歯の健康にも気をつける必要があります。
冬は寒さで無意識に歯を食いしばってしまい、これが歯や歯ぐきに負担がかかることがあります。
お身体も歯も労っていきましょうね!


さて、今回は「被せ物の土台のお話」をしたいと思います。


<被せ物の構造>
まず、被せ物の構造についてお話しします。
重度のむし歯になってしまい、神経をとる治療を施した歯は、通常被せ物をすることになります。
実は、被せ物は歯にそのまま被せているわけではなく、歯に土台を立ててその上に被せ物を被せています。

歯の構造は、よく家の構造に例えられます。
食べ物を噛んだり歯磨きをする部分、見えている部分が「家」だとすると、
歯ぐきの中に隠れている歯の根や歯を支える骨が「家の基礎や柱=土台」にあたります。
耐震構造など、基礎や柱がしっかりしてこそ家は安定して立ち続けられます。

被せ物をする場合も、同様に「土台」が大切です。
基礎や柱に当たる土台がしっかりしていることで、被せ物がしっかりと機能し、
むし歯や外傷によって大きく失われた歯を保護し、噛む力をサポートすることができます。


<歯の硬さ>
次に、歯の硬さについてお話しします。
歯の表面はエナメル質という、人体の中でも一番硬い組織で覆われています。
そのくらい硬い組織であるエナメル質でも、実はしなやかさも合わせ持っています。


歯は、歯ぎしりや硬いものを噛んだ時など、強い衝撃に対して自分がしなることで、
かかった力を分散させて割れないように保っています。また、神経治療をした歯は、
エナメル質の大部分を削っているため強度がなく、強い力がかかると割れてしまいます。


<土台の種類>
次に、土台の種類についてお話しします。
被せ物がしっかりと機能するためには、被せ物の中に立てる「土台」が大切とお話ししましたが、
土台の種類は、大きく分けて「金属でできたメタルコア」と「繊維でできたファイバーコア」があります。


どのような違いがあるのでしょうか?


メタルコアの場合

〜メタルコアのメリット〜
 ・保険診療のため費用を抑えられる
 ・土台自体の強度が十分ある
〜メタルコアのデメリット〜
 ・歯よりも硬くしならないため、歯が耐えられず、
  歯ぎしりや硬いものを噛んだ時に歯が割れてしまうリスクが高い
 ・歯周病などで歯ぐきが下がると、歯ぐきと被せ物の間からメタルコアが黒く見え見栄えが良くない
 ・メタルコア自体が酸化し歯ぐきが黒ずむ
 ・メタルコアと歯の間に隙間が開きやすく、二次むし歯になりやすい


ファイバーコアの場合

〜ファイバーコアのメリット〜
 ・歯と同じくらいしなやかさがあり、歯ぎしりや硬いものを噛んだ時に
  しっかり力を分散させるため、歯の根が割れにくい
 ・金属を使用しないので、歯ぐきが黒ずんだり隙間から黒く見えることがなく、
  審美的な問題点を回避できる
 ・金属アレルギーの心配がない

〜ファイバーコアのデメリット〜
 ・自由診療のため費用が高い


このように、それぞれにメリット・デメリットがあります
素材の特性や時間が経ってからの影響、費用面など、複合的に考えて選択することが大切です。


また、被せ物の治療をする際は、見た目にこだわり被せ物から選ぶことが多いと思いますが、
被せ物の支えとなる「土台」から選ぶことで、歯に与える影響も変わってきます。


最後に、
被せ物の治療をした後はもちろん、被せ物の治療が必要になる前に、
むし歯を予防をしていくことが歯の健康を守るためにとても有効です。
そのために、定期的な歯科医院の受診をおすすめします。
何か気になることがあれば、いつでもご相談ください。皆さんの笑顔を守るお手伝いをさせていただきます。

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